化粧品OEMは許可なしで販売できる?委託時の役割分担
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
化粧品OEMでブランド側が自社の製造販売業許可を持たずに販売できるかは、委託先が製造販売を担う形かどうかで決まり、表示名義・品質管理の体制・広告の確認も併せて整理する必要があります。
「自社で許可を取らない」ことだけを先に決めると、誰が市場に出す責任を負うのか、どの製造所がどの工程を行うのかが曖昧になりがちです。委託先との打合せでは、製品仕様と同時に役割分担を表にしてから、表示原稿や変更時の連絡方法まで確認します。
委託形態と許可確認の考え方
化粧品OEMの委託形態では、ブランド名、製造を行う会社、製造販売を担う会社が一致するとは限りません。化粧品を市場に出す行為と、製造所で工程を行う行為を分けて整理することが、許可確認の出発点です。

| 確認する行為 | 主に確認する相手 | 最初にそろえる内容 |
|---|---|---|
| 製造販売 | 製造販売を担う者 | 製造販売業許可、品質管理、製造販売後安全管理 |
| 製造工程 | 製造所を運営する者 | 実施工程、製造業許可の区分、製造所所在地 |
| 販売時の表示 | 製造販売を担う者とブランド側 | 表示名義、ラベル原稿、変更時の確認者 |
自社が製造販売を担う場合
自社名で化粧品を製造販売する場合は、製造を他社に委託していても、製造販売を担う者としての確認が必要です。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第13項は、他に委託して製造する場合を含む製造や輸入をした化粧品を販売する行為を製造販売と定義しています。同法第12条第1項は、業として化粧品の製造販売をしようとする者に許可を求めています(2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。
この形では、製造所での実作業を受託製造会社に任せても、ブランド側が製造販売の担い手になります。ブランド名だけでは結論を出さず、製造販売を担う者、委託する工程、製造所を分けて記録します。役割を最初に整理したい場合は、化粧品OEMで誰に許可が必要かの当事者判定も併せて確認すると、用語の混同を避けやすくなります。
たとえば、処方や容器の仕様をブランド側が決めていても、それだけで製造販売の担い手が決まるわけではありません。販売に当たり誰の体制で品質管理と製造販売後安全管理を行うのか、容器等の表示に誰の情報を記載するのかまで確認して、役割を判断します。自社で製造販売を担う場合は、製造販売業許可と関連する体制を、自社の事業計画に沿って確認することになります。

委託先が製造販売を担う場合
委託先が製造販売を担う形では、ブランド側が製造販売業者ではない場合があります。この場合も、委託先が製造販売の責任を担うこと、製造所で行う工程に必要な確認がされていること、表示名義と連絡窓口が一致していることを、契約前に分けて確認します。
他から委託を受けて製造する行為は、同法第2条第13項の製造販売の定義から除かれます。一方で、業として化粧品を製造する者には同法第13条第1項の製造業許可が関係し、製造工程の全部または一部を行う区分と、包装・表示・保管のみを行う区分は同法施行規則第25条第3項で区分されています(薬機法は2026年5月21日施行の現行条文、同施行規則は2026年8月24日施行、いずれも2026年9月8日確認)。工程と許可区分の対応は、化粧品製造業許可の区分で確認できます。
発注側は、相手方の許可の有無を記事上で評価するのではなく、自社が求める工程と役割を伝えて直接確認します。製造工程の一部を追加する、包装や表示の工程を別の製造所へ移すなど、依頼条件が変わる場合は、初回の役割分担表に戻って見直します。工程名を曖昧なままにすると、比較したい条件そのものがそろいません。

表示名義で確認すること
直接の容器等に何を記載するかは、ブランドの見せ方とは別の確認軸です。製造販売を担う者の情報と、製品名やブランド表記を混同せず、ラベル原稿を確定する前に確認します。

容器等の表示と製造販売業者の関係
薬機法第61条第1号は、化粧品の直接の容器または直接の被包に、製造販売業者の氏名または名称および住所を記載することとしています(2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。ブランド名を表示する場合でも、この記載事項を置き換えるものではありません。容器、外箱、添付文書などで情報を分ける場合は、どの情報をどこに置くのかを表にして確認します。
表示名義を確認するときは、製造販売を担う者の変更、製造所の変更、製品仕様の変更を同じ窓口へ伝えられる状態にすることが大切です。完成品の表示方法を検討する場合は、品目ごとの届出との関係も含めて化粧品の製造販売届・承認との違いを参照できます。個別のラベルが法令に適合するかどうかは、所管の都道府県薬務主管課または専門家へ確認します。
品質・安全管理と広告の確認
製造販売を担う者には、製造所での作業とは別に、品質管理と製造販売後安全管理の体制を確認する必要があります。広告の確認もブランド側だけの仕事にせず、誰が原稿を作り、誰が根拠と最終版を確認するかを役割分担に入れます。

品質管理・製造販売後安全管理の体制
化粧品の製造販売業者については、医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令第17条が品質保証責任者の設置を定め、同第18条が品質管理業務の手順と業務を定めています(2021年8月1日施行、2026年9月8日確認)。製造販売後安全管理は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令第15条において準用する第13条第2項で、安全管理責任者の設置を定めています(2026年5月1日施行、2026年9月8日確認)。
ブランド側が自社で製造販売を担うなら、この体制を自社側で確認します。委託先が担うなら、体制の責任をどちらが持つのか、苦情や変更連絡を誰が受けるのかを文書でそろえます。製造販売業許可の体制と更新の考え方は、化粧品製造販売業許可の要件でも確認できます。
ここでいう確認は、担当者の肩書だけを並べることではありません。試作条件、原料や容器の変更、製造所の変更、販売後に受けた連絡を、どの経路で共有するのかを決めます。製造販売を担う者と製造所の担当者が別である場合ほど、確認済みの資料と連絡先を更新できる形にしておくことが重要です。
広告表示は誰の確認が必要か
薬機法第66条第1項は、化粧品の名称、製造方法、効能、効果または性能に関する虚偽または誇大な広告等を「何人も」してはならないと定めています(2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。そのため、製造販売を担う者だけ、またはブランド側だけに確認を任せるのではなく、原稿の作成者、掲載の決定者、根拠を確認する者を分けておく必要があります。
ここで確認するのは、効能表現の作り方ではありません。製品の表示や紹介文を公開する前に、誰が根拠資料を確認し、変更時に誰へ連絡し、掲載済みの文面をどのように見直すかという手順です。受託製造会社、ブランド側、仲介に関わる者の役割を一枚の表にすると、確認の抜けを見つけやすくなります。
契約前にそろえる確認事項
契約前の確認は、許可の有無だけを尋ねて終える作業ではありません。製造販売、製造工程、表示、品質管理、広告、変更連絡の担当を同じ粒度で並べ、相手方と認識が一致しているかを確かめます。
役割分担表を作る順序
最初に、製品の剤型、容器、想定する製造工程、販売開始までに必要な作業を列にします。次に各項目について、製造販売を担う者、製造所で実施する者、情報を確認する者、変更時に連絡を受ける者を記入します。最後に、表示原稿、試作条件、製造所や工程の変更、広告原稿をどの時点で見直すかを確認します。
表に記す内容は、相手方を採点するための項目ではありません。各社へ同じ条件を伝え、見積や対応範囲を比べる前提をそろえるための項目です。製品が複数ある場合も、剤型や容器が異なれば同じ表を複製するのではなく、異なる工程と確認者があるかを見直します。
| 確認項目 | 役割分担表に記す内容 | 変更時に確認すること |
|---|---|---|
| 製造販売 | 担い手と責任者 | 担い手や連絡窓口の変更 |
| 製造工程 | 製造所と実施工程 | 区分に関わる工程の追加・変更 |
| 表示 | 製造販売業者の記載と原稿確認者 | 容器、外箱、名称の変更 |
| 品質・安全管理 | 確認体制と連絡経路 | 苦情、仕様、製造所の変更 |
| 広告 | 原稿の確認者と掲載前の手順 | 表現、掲載媒体、根拠資料の変更 |
役割分担表は、相手方の個別の許可の有無を判定するためのものではなく、発注条件をそろえるための確認表です。個別の契約内容や許可要否に関する判断は、事務所・製造所の所在地を所管する都道府県薬務主管課または専門家へ確認してください。
まとめ
化粧品OEMで自社の製造販売業許可を持たない形を検討するときは、許可の名称だけで可否を決めず、誰が製造販売を担い、どの製造所でどの工程を行い、誰が表示・品質管理・広告を確認するかを整理します。役割分担表を先に共有すれば、製品仕様や変更時の連絡も同じ前提で確認できます。
次は、化粧品OEMで誰に許可が必要か、化粧品製造業許可の区分、化粧品の製造販売届・承認との違いを読み、役割と工程の確認を深めてください。
よくある質問
- Q. 委託先が製造販売を担う場合、ブランド側は何を確認すべきですか
- 製造販売を担う者、実施工程、表示名義、品質管理と製造販売後安全管理の確認体制、変更時の連絡方法を役割分担表に整理します。自社の行為に許可が必要か、個別の契約上どちらが何を担うかは、一般的な説明だけで固定せず、所管の都道府県薬務主管課または専門家へ確認してください。
- Q. ブランド名と製造販売業者の名称が異なることはありますか
- ブランド名と製造販売業者の名称は、同じものとして扱うのではなく、直接の容器または直接の被包の記載事項を確認します。薬機法第61条第1号は製造販売業者の氏名または名称および住所の記載を定めています(2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。
- Q. 化粧品OEMの広告は、ブランド側だけが確認すればよいですか
- 化粧品に関する虚偽または誇大な広告等は「何人も」が対象となるため、ブランド側だけに確認を限定せず、受託側や掲載に関わる者を含めて役割を整理します。薬機法第66条第1項(2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)を踏まえ、掲載前の確認者と変更時の連絡先を決めておくことが重要です。
出典
- 1.医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- 3.医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)