薬機法66条と化粧品広告|「何人も」規制の対象と確認手順
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
化粧品に関する薬機法第66条の広告規制は「何人も」を対象とするため、受託側・発注側・仲介側を含め、表示の主体と広告該当性を確認する必要があります。化粧品OEMでは、製造販売を担う者だけでなく、商品ページ、SNS、営業資料、販売用の画像などを用意する関係者が分かれることがあります。役割が分かれるほど、掲載前の確認者と根拠資料を先に決めることが重要です。
この記事は、どの表現を使うべきかを指南するものではありません。薬機法第66条の対象、広告に当たるかを判断する三つの要件、是正時の連絡と行政上の手順を、発注・受託の役割分担に沿って整理します。
薬機法66条の対象
薬機法第66条は、化粧品の名称、製造方法、効能、効果または性能に関する虚偽または誇大な記事の広告、記述または流布を規制する条文です。対象者を特定の業種や役職に限らないため、掲載する媒体と関与する者を一緒に確認します。

| 確認する対象 | 役割ごとの確認点 | 先にそろえる資料 |
|---|---|---|
| 発注側 | 掲載目的と最終承認者 | 企画と表示原稿 |
| 受託側 | 製造に関する事実との整合 | 仕様と確認経路 |
| 仲介・制作側 | 掲載媒体と公開時の連絡先 | 掲載予定の素材 |
「何人も」が対象となる表示の主体
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第66条第1項は、「何人も」が化粧品の名称、製造方法、効能、効果または性能に関して、虚偽または誇大な記事を広告し、記述し、または流布してはならないと定めています(2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。このため、製造販売業者だけを確認者と決めて終えるのではなく、誰が内容を作成し、誰が掲載を承認し、誰が公開後の修正連絡を受けるかを分けておく必要があります。
化粧品OEMの案件では、発注側がブランドの企画や販売素材を用意し、受託側が製造工程に関する情報を確認する形があります。さらに、制作会社や販売チャネルの運営者が掲載作業を担う場合もあります。役割の違いは責任の有無を単純に決める材料ではないため、各者が扱う原稿、画像、掲載先を一覧にし、最終確認の流れを契約前から共有します。

広告に当たる三つの要件
「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日 医薬監第148号、2026年9月8日確認)は、広告に当たるかを考える要件として、顧客を誘引する意図が明確であること、特定の商品名が明らかにされていること、一般人が認知できる状態であることを示しています。三つの要件は別々の確認欄にし、ひとつだけで結論を急がないことが大切です。
媒体名だけで判断するのではなく、掲載の目的、対象となる商品の特定、公開範囲を確認します。例えば、社内だけで検討する資料と、一般に認知できる状態で公開する販売素材では、確認すべき状況が異なります。個別の広告該当性は事実関係で変わるため、迷う場合は所管の都道府県薬務主管課または専門家へ確認してください。
掲載前に確認する順序
掲載前の確認は、表現を言い換える作業ではなく、主体、掲載先、根拠資料、変更時の連絡を同じ順序で整える作業です。公開直前だけに確認を集中させず、企画、制作、承認、公開後の見直しに分けます。

ウェブサイト・SNS・営業資料を確認する
最初に、ウェブサイト、SNS、営業資料など、掲載予定の媒体を列挙します。次に、各媒体で用いる商品名、画像、説明文がどの資料に基づくかを整理し、製造に関する事実と販売に用いる原稿を混同しないようにします。公開する素材が更新される場合には、最新版の保管場所と承認者を決めておくと、古い素材が残るリスクを確認しやすくなります。
「医薬品等適正広告基準」(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙、2026年9月8日確認)は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイトおよびソーシャル・ネットワーキング・サービス等を対象となる広告の媒体に含めています。媒体ごとに別の基準を作るのではなく、掲載先ごとに最終確認者、使用する原稿、公開後の修正窓口を対応付ける方法が実務上の整理になります。
確認表には、掲載する場所、公開予定日、使用する原稿の版、画像の作成元、確認者を記載します。修正があったときは、どの掲載先に同じ素材が残っているかを確認し、修正の担当と完了連絡を分けます。素材の所在を一か所に集めることよりも、変更時に追える関係を残すことが目的です。
効能表現の指南ではなく主体と根拠を確認する
化粧品OEMの発注準備では、掲載内容の可否を記事の一般例だけで決めないことが必要です。効能や効果を強調する表現の集め方ではなく、誰が掲載を決めるか、何を根拠資料とするか、どの版の原稿を公開するかを確認表に置きます。これにより、制作段階で追加された文言や画像についても、同じ確認経路に戻せます。
日本化粧品工業会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」は業界団体の自主基準であり、法令そのものとは区別して扱います(2026年9月8日確認)。法令上の確認と自主基準の確認を一つの承認欄に混ぜず、根拠資料の名称、確認日、担当者を分けて残します。製造販売の担い手と表示の役割を整理したい場合は、許可を取得せずにOEM販売する場合も参考にしてください。
是正・行政上の手順
広告に関する問題が生じた場合の扱いは、直ちに一律の罰則へ進むものとして理解しません。立入検査等、措置命令または課徴金、業務停止・許可取消し、罰則という制度上の段階を分け、事案に応じた確認先へ連絡します。

立入検査等から措置命令・課徴金までの流れ
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律では、報告徴収や立入検査等を第69条で定め、広告に関する違反への措置命令を第72条の5第1項で定めています。第75条の5の2には、同法第66条第1項違反に関する課徴金納付命令の規定があり、許可取消しや業務停止は第75条第1項に定められています(2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。
社内では、公開中の素材を把握し、誰が掲載停止や修正の連絡を担うかを先に決めます。受託側、発注側、制作側のいずれかだけが抱え込むのではなく、掲載先、原稿の版、連絡先を共有し、必要な修正を同じ手順で確認します。個別の違反該当性や対応は一般論だけで決めず、所管の都道府県薬務主管課または専門家へ相談してください。
是正の確認表では、公開中の素材、差し替え対象、対応の期限、関係者への連絡を別欄にします。掲載を止める必要があるか、どの文言または画像を見直すかは、個別の事実関係と根拠資料を照合して判断します。読者向けの原稿と取引先向けの資料で同じ素材を使う場合も、片方だけの修正で完了としないよう掲載先を確認します。
化粧品に関する条文の読み分け
化粧品に関する広告の確認では、第66条と第68条の対象を混同しないことも重要です。条文ごとに対象となる品目が異なるため、見出しの語だけで同じ規制だと扱わず、対象範囲を確認します。

第68条の対象と混同しない
薬機法第68条は、承認前の医薬品、医療機器または再生医療等製品の広告を禁止する条文です。条文上、化粧品は第68条の対象に含まれていません。一方で、化粧品についても第66条の虚偽または誇大な広告等に関する規定は適用されるため、承認前広告の条文だけを見て化粧品の広告確認が不要になるとは考えません(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第66条・第68条、2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。
発注書や表示確認表では、確認の根拠条文、対象となる素材、最終承認者を対応付けます。条文の適用は個別の事実関係によるため、一般的な整理を超える判断は所管の都道府県薬務主管課または専門家に確認します。製品の届出と承認の違いは、化粧品の製造販売届と承認との違いで確認できます。
条文の名称だけを転記するのではなく、確認した対象が第66条の論点か、第68条の論点かを記録します。担当者が交代しても確認の前提をたどれるよう、参照した資料の版と確認日を残します。公開後の変更履歴と連絡先、確認した媒体も残します。
まとめ
化粧品OEMに関する広告確認では、受託側だけでなく、発注側、仲介側、制作側を含めて、誰が何を掲載し、誰が最終確認するかを整理します。広告に当たるかは三つの要件をそろえて確認し、掲載前から公開後の修正連絡までを同じ確認表に置くことが基本です。
表示に関する根拠の収録方針は運営方針、関連する制度記事はガイドカテゴリから確認できます。完成品の表示項目を整理する際は、化粧品の全成分表示ルールも参照してください。
よくある質問
- Q. 化粧品OEMの受託側だけが、広告規制の対象になりますか
- 受託側だけに限られません。化粧品の虚偽または誇大な広告等については「何人も」が対象となるため、発注側、受託側、仲介側など、掲載に関わる主体ごとに確認経路を整えます(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第66条第1項、2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。
- Q. どのような場合に広告に当たりますか
- 広告に当たるかは、顧客を誘引する意図、特定の商品名、一般人が認知できる状態という三つの要件をすべて満たすかで確認します。個別の掲載内容は目的や公開範囲によって異なるため、判断に迷う場合は根拠資料と事実関係をそろえて確認します(「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」、2026年9月8日確認)。
- Q. 化粧品にも承認前広告の禁止は適用されますか
- 薬機法第68条の対象は医薬品、医療機器、再生医療等製品であり、化粧品は条文上含まれていません。ただし、化粧品にも第66条の虚偽または誇大な広告等に関する規定は適用されるため、二つの条文の対象範囲を分けて確認します(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第66条・第68条、2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認)。
出典
- 1.医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.厚生労働省「医薬品等の広告規制について」(mhlw.go.jp)
- 3.薬事法における医薬品等の広告の該当性について(mhlw.go.jp)
- 4.医薬品等適正広告基準(mhlw.go.jp)
- 5.医薬品等適正広告基準 解説及び留意事項等(mhlw.go.jp)
- 6.日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」(jcia.org)