化粧品OEMの流れ|企画から量産までの責任分担
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
化粧品OEMは、企画から量産までの工程を進めるだけでなく、各工程で製造販売業者と製造業者の役割を分けて確認することが重要です。工程表は日程を並べるためだけではなく、どの段階で誰が製品情報を確定し、変更を共有するかを見えるようにするために使います。ここでは一般的な確認の順序を示し、申請書類の作成や個別の法令判断を行うものではありません。
化粧品OEMの全体の流れ
化粧品OEMでは、企画、仕様確認、試作、表示・届出の準備、量産前確認を順に整理します。各段階で製品に関する情報が増えるため、確認する担当と変更の連絡先を同じ工程表で管理します。

| 確認段階 | 主にそろえる情報 | 役割分担の確認 |
|---|---|---|
| 企画 | 製品の目的と関係者 | 製造販売を担う者 |
| 仕様確認 | 剤型、容器、表示に関する情報 | 製造所と製品情報の担当 |
| 試作 | 試作条件と変更内容 | 試作の依頼・確認経路 |
| 表示・届出の準備 | 製品情報と提出に関する確認 | 製造販売を担う者と連絡先 |
| 量産前確認 | 確定した仕様と工程 | 製造販売業者と製造業者の分担 |
企画から量産までの五つの確認段階
最初の企画段階では、製品の方向性と関係者を整理します。次の仕様確認では、試作や容器、表示に関係する情報を、誰が確定するのかを明確にします。試作では条件の変更を記録し、表示・届出の準備では確定した情報を製造販売を担う者へ集約します。量産前には、製造所で行う工程と製造販売を担う者の確認事項を改めて照合します。
この流れは、すべての案件が同じ日数や同じ工程で進むことを示すものではありません。製品の設計、委託範囲、製造所の工程によって、追加して確認すべき事項は変わります。それでも、情報が確定した時点と変更が生じた時点を残すという基本の順番は共通して使えます。工程を飛ばして役割分担を後から決めると、確認先が分からなくなりやすいためです。
各段階の終わりには、次の段階へ渡す情報を短く確認します。たとえば仕様確認の後なら、試作へ渡す条件と確認が残っている事項を分けます。確認が終わっていない事項を明示しておけば、量産前に初めて差異が見つかることを避けやすくなります。
OEMとODMを工程で区別する早見表

| 呼び方 | 工程表で確認する観点 | 契約前にそろえること |
|---|---|---|
| OEM | 製造を委託する範囲 | 仕様の確定者と製造所の工程 |
| ODM | 企画や仕様の提案を含む範囲 | 提案範囲と最終的な仕様の確定者 |
OEMとODMは、取引で使われることのある呼び方であり、法律上の許可区分ではありません。この記事では、製造を委託する関係をOEM、企画又は仕様の提案を含む関係をODMと呼ぶ場合があるものとして、工程表を読むために区別しています。どちらの呼び方でも、誰が製造販売を担い、どの製造所がどの工程を担うかは別に確認します。
契約書の表題だけで役割を決めず、企画、仕様、試作、製造、表示に関する担当を表にします。提案を受ける工程があっても、最終的にどの情報を誰が確定するかは案件ごとに確認が必要です。用語の違いより、製品情報が確定する場所と、変更を伝える経路を明らかにすることが実務上の軸になります。
工程表には、提案を受ける段階と、仕様を確定する段階を別の行として置くと整理しやすくなります。これにより、誰が案を出したかと、誰が最終的な製品情報を確認したかを混同しません。製品仕様の変更がある場合にも、どの段階へ戻って確認すべきかを追えます。
企画と仕様確認で決めること
企画と仕様確認では、製品の見た目や容器だけでなく、製造販売を担う者と製造所の役割を早い段階で整理します。後続の試作や届出の準備で同じ情報を使えるよう、確認項目を一つの表に集めます。

製造販売の担い手と製品要件を整理する
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第13項は、委託して製造する場合を含め、製造又は輸入した化粧品を販売等する行為を製造販売として定めています。法律は2026年5月21日施行の現行条文で、2026年9月8日確認です。企画の初めに、誰が製造販売を担うのか、どの製造所でどの工程を行うのかを記録します。化粧品OEMで誰に許可が必要かでは、この役割の分け方を許可の観点から確認できます。
製品要件の表には、製品名だけでなく、容器、表示に必要な情報、製造所、担当者、変更時の連絡先を置きます。後で試作条件が変わった場合には、変更した項目を同じ表で追えるようにします。企画担当、製造販売を担う者、製造所の間で表を共有すると、同じ製品について異なる前提で準備を進めることを避けやすくなります。
仕様を確定する前には、製造所へ確認する事項と、製造販売を担う者へ確認する事項を色分けではなく欄名で分けます。役割を文字で示すことで、担当の変更があっても確認する対象を引き継げます。要件表は、個別の許可要否を決めるためではなく、必要な確認を漏れなく依頼するための土台になります。
試作・表示準備で確認すること
試作・表示準備は、試作条件と表示に必要な情報を別々に整理する段階です。どちらも製品の変更と結び付くため、変更の内容、確認した担当、次に知らせる担当を記録します。

試作条件と変更連絡をそろえる
試作では、製品の仕様に関する確認事項と、製造所で試作する条件を対応づけます。条件を変更する場合は、変更前と変更後の内容を分け、誰が確認したかを残します。変更の連絡先が明確であれば、製造販売を担う者が確認すべき情報と、製造所が工程で確認する情報を混同しにくくなります。
試作は完成品を判断するためだけの段階ではなく、後続の表示・届出の準備に使う情報をそろえる段階でもあります。口頭だけで変更を伝えず、製品要件の表を更新し、関係者が同じ版を確認できるようにします。個別の製品設計や法令上の適否については、所管の都道府県薬務主管課や専門家へ確認してください。
試作で確認した内容を量産前の表へ転記する際は、確認済みの内容と、追加確認が必要な内容を分けます。変更の理由を長く記録するより、何が変わったか、誰が確認するか、いつ共有したかをそろえるほうが後の確認に使いやすくなります。製品に関する情報を一か所で管理することが、変更連絡の取り違えを減らします。
表示・品目届の準備を分けて確認する
表示に関する情報と、品目ごとの届出に関する確認は、同じ資料に混在させず目的別に整理します。承認を要する場合を除く化粧品を製造販売しようとするときは、製造販売業者があらかじめ品目ごとに届け出ることとされています。根拠は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の9第1項で、2026年5月21日施行の現行条文を2026年9月8日に確認しています。届出の位置づけは、化粧品の製造販売届と承認との違いで確認できます。
表示の情報を確定する担当と、届出を担う製造販売業者の確認経路を分けると、変更時の連絡先が明確になります。届出書の作成方法や個別の提出判断は、所管窓口の案内を確認します。この記事では、どの資料を誰が確認するかという役割分担に留め、申請書類の作成を代わりに行うものではありません。
表示に関する資料を確認する担当は、届出に関する情報が確定したことも製造販売を担う者へ伝えます。反対に、届出に関する変更がある場合には、表示の情報への影響を同じ工程表で確認します。二つの資料を別々に管理しても、変更連絡の入口だけは共通にしておくと把握しやすくなります。
量産前の責任分担
量産前には、確定した製品情報と製造所の工程を照合し、製造販売業者と製造業者の役割を混同しないことが重要です。品質管理と製造販売後安全管理に関する体制も、製造所で行う工程とは分けて確認します。

出荷前に役割分担を見直す
化粧品の製造販売業者は、品質管理及び製造販売後安全管理を行わせるため、医薬品等総括製造販売責任者を置くこととされています。根拠は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第17条第1項・第2項で、2026年5月21日施行の現行条文、2026年9月8日確認です。出荷前には、製造販売を担う者の確認事項と、製造所で行う工程の確認事項を同じ担当にまとめず、役割ごとに整理します。
品質管理については、医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令第17条が品質保証責任者の設置を、第18条が品質管理業務を定めています。製造販売後安全管理については、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令第15条において準用する第13条第2項が安全管理責任者の設置を定めています。前者は2021年8月1日施行、後者は2026年5月1日施行で、いずれも2026年9月8日確認です。具体的な手順書の内容を推測せず、体制の確認と工程の確認を分けて扱います。
量産前の会議では、製造所の工程確認と製造販売を担う者の体制確認を一つの結論にまとめず、それぞれの確認事項を残します。確認済みかどうかだけでなく、誰が確認したかを記録すれば、製品の変更があったときにも見直す場所が分かります。役割分担表は、出荷前の確認が終わった後にも、変更の連絡経路として利用できます。
まとめ
化粧品OEMの流れでは、企画から量産までの進行と、製造販売を担う者・製造所・製品情報の担当を同じ工程表で確認します。試作や仕様の変更があったときも、変更内容と連絡先を記録し、量産前に役割分担を見直します。
許可の役割は化粧品OEMで誰に許可が必要か、届出の位置づけは化粧品の製造販売届と承認との違いで確認できます。ほかの実務テーマはブログ一覧、手順の記事一覧、方針ページを参照してください。
よくある質問
- Q. 化粧品OEMは、企画から量産までどのような順で進みますか
- 企画、仕様確認、試作、表示・届出の準備、量産前確認の順に、製品情報と責任分担を確認します。実際に必要な確認は製品や契約によって異なりますが、各段階で誰が情報を確定し、変更を誰へ伝えるかを記録することが基本です。工程表は日程表だけでなく、役割分担表としても使います。
- Q. OEMとODMの違いは、発注の流れにどう影響しますか
- OEMとODMは法律上の許可区分ではなく、取引上の役割を説明するための呼び方です。企画又は仕様の提案を誰が担うかに違いがあっても、製造販売を担う者、製造所、工程、製品情報の確定者を別に確認します。個別の契約内容は当事者間で確認し、用語だけで役割を決めないことが重要です。
- Q. 製造販売業者と製造業者は、工程のどこを担いますか
- 製造販売は、委託して製造する場合を含む製造又は輸入した化粧品を販売等する行為であり、製造所で工程を行う製造とは区別します。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第13項・第17条、GQP省令第17条・第18条、GVP省令第15条において準用する第13条第2項を、2026年9月8日に確認しています。法律は2026年5月21日施行、GQP省令は2021年8月1日施行、GVP省令は2026年5月1日施行です。
出典
- 1.医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- 3.医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- 4.医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)